
チャットボットとFAQシステムは、いずれもサイト訪問者の疑問の解消に使われます。どちらも適切に運用することで、問い合わせ数減少による社内コストの削減や、顧客満足度の向上などの効果が見込めます。
自社サイトにどちらを導入するのが良いか、どこがどう違うのか疑問に感じている人も少なくないでしょう。
今回は、チャットボットとFAQシステムの違いと選ぶポイントを解説します。さらに連携方法も紹介するので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- チャットボットとFAQシステムの違い
- チャットボットとFAQシステムのどちらを選ぶべきかの判断基準
- チャットボットとFAQシステムを組み合わせるメリット・方法
目次
チャットボット・FAQシステムとは
まずは、チャットボットとFAQシステムが、それぞれどんなものなのかを解説します。両者を混同しないように、特徴を押さえておきましょう。
チャットボットとは
チャットボットとは、自動でユーザーとの会話を行うプログラムです。一問一答の形で会話をしながら、状況や内容に応じてユーザーの疑問を解決したり、申し込みなどの手続きを進めたりします。
自社サイトにチャットボットを設置すれば、ユーザーは疑問を感じたときにすぐに質問し、その場で解決することが可能です。電話やメールでの問い合わせと異なり、待ち時間が発生することも原則ありません。また、問い合わせ対応をするスタッフの負担を減らせるのも魅力です。
チャットボットは大きく分けて、以下のAI型とルールベース型(シナリオ型)の2つに分けられます。
AI型チャットボット |
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ルールベース型(シナリオ型) |
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FAQシステムとは
FAQシステムは「Frequently Asked Questions System」の略称であり、「よくある質問」を意味します。よくある質問とその答えのセット(Q&A)を大量に集めて整理したものを指すのが一般的です。
サイトにFAQを設置すれば、ユーザーは自分が抱えている疑問に近い質問を検索することで、その回答にたどり着くことができます。顧客向けにwebサイト上で公開するだけでなく、社内向けにナレッジ共有のために活用されることもあります。
チャットボットと同じく、ユーザーによるスムーズな自己解決を促すため、ユーザーの満足度向上が期待できたり、対応するスタッフの負担を軽減できたりする点がメリットです。
チャットボットとFAQシステムの違い
下表は、チャットボットとFAQシステムの主な違いをまとめたものです。
比較項目 | FAQシステム | チャットボット |
---|---|---|
回答のスピード | チャットボットに比べて遅い | FAQシステムに比べて速い |
Q&Aの数 | 300件以上 | 300件以下 |
一度に提示できる情報量 | チャットボットに比べて多い | FAQシステムに比べて少ない |
取得できるユーザー情報 | チャットボットに比べて少ない | FAQシステムに比べて多い |
導入・運用方法 | 事前にQ&Aの用意が必要 | |
ユーザーにとっての見やすさを意識した掲載・設計が重要 | ユーザーとの対話フローの設計やシナリオ作成が重要 |
各項目について、より詳しく解説します。
回答のスピード
チャットボットとFAQシステムでは、ほしい回答が得られるまでのスピードが異なります。チャットボットの方が、より短時間で回答までたどり着きやすい傾向にあります。ユーザーとの会話内容から、求めている情報を予測して、効率よく回答を絞り込んでいくからです。
一方でFAQシステムでは、ユーザー自身が、目当てのQ&Aを見つけなければなりません。そのため、ほしい情報に関する適切なキーワードを知らない人は、探し出すまでに時間がかかることがあります。FAQシステムでは、トラブルの種類ごとにQ&Aを分類して整理しておくなど、キーワードを知らない人でも情報を見つけやすくする工夫が必要です。
取り扱うQ&Aの数
チャットボットとFAQシステムでは、適切なQ&Aの数が違います。チャットボットは目安として300件より少ないQ&Aを扱うのに向いている一方で、FAQシステムは300件以上の大量のQ&Aを扱うのが得意です。
会話をしながらQ&Aを探せるチャットボットの方が、ユーザーにとっての利便性が高い場合も少なくありません。ただし、Q&Aの数があまりに多くなると、目当てのQ&Aを探し出すまでに何度もチャットボットと会話する必要があり、かえって手間が増えてしまいます。
このように、チャットボットとFAQシステムを使い分ける際には、適したQ&A数が違うことが大きなポイントとなります。
一度に提示できる情報量
FAQシステムは、専用のページにQ&Aを表示する場合が多いため、画面全体を使って、回答内容を詳しく解説できます。また、回答の文章量を増やすだけでなく、図や写真、表、グラフなどを使って、わかりやすく伝える工夫も容易です。
一方、チャットボットでは、提示できる情報量が少なくなりがちです。Webサイトの画面端に設置されることが多く、表示面が小さいため、大量の情報を提示するのには向いていません。このためチャットボットでは、複雑な質問に回答し切れない可能性があり、有人対応と組み合わせるなどの工夫をすることが必要です。
取得できるユーザー情報
チャットボットでは、多くのユーザー情報を集められます。これは、チャットボットとやり取りをする中で、ユーザーが知りたいことや疑問を複数回入力するためです。
チャットボットでは、ユーザーに対して質問することで、ほしい情報をピンポイントで取得することもできます。入力された情報を分析すれば、ユーザーが抱えている問題や要望をより深く理解できるでしょう。
FAQシステムでは、チャットボットほど多くの情報を集められません。それでも検索の際に使われたキーワードは取得できるので、ユーザーがどんな言葉を使っているのかを把握して、Q&Aの改善に役立てられます。
導入・運用方法
チャットボットとFAQシステムは、表示の仕方は異なるものの、いずれも導入の際は、事前にQ&Aを用意する必要があります。
Q&Aの数が少ないと質問に答えられないことが多くなり、ユーザーにストレスを与える可能性が高まります。そうならないためには、優先順位をつけながら、予測されるQ&Aを網羅的に作成することが大切です。
ただし、Q&Aを用意したあとの運用方法については、チャットボットとFAQシステムには違いがあります。FAQシステムは、よくある質問と回答を整理・蓄積し、カテゴリ分けや検索性を意識しながら見やすく掲載する設計が必要です。一方で、チャットボットでは、ユーザーとの対話フローの設計やシナリオ作成が欠かせません。
どちらも導入して終わりではなく、定期的な見直しや更新が成果を左右します。問い合わせ内容の変化やユーザー行動の傾向を分析し、適宜コンテンツやシナリオを改善していくことが長期的な運用成功の鍵といえるでしょう。
チャットボットとFAQシステムはどちらがおすすめ?
チャットボットがおすすめなケース | FAQシステムがおすすめなケース |
---|---|
ユーザーの疑問が明確でない場合 | ユーザーの疑問が明確な場合 |
自社に対して興味や好感を持って欲しい場合 | 図や表で多くの情報を伝えたい場合 |
扱うQ&Aが少ない場合 | 扱うQ&Aが多い場合 |
チャットボットとFAQシステムのどちらを導入するべきか、迷ってしまうことも多いでしょう。そこで、どちらを選ぶべきかの判断基準を紹介します。自社に導入・利用している場面をイメージしながら検討してみてください。
チャットボットがおすすめなケース
チャットボットは、回答までのスピードを重視したい場合や、Q&Aの数が限られている場合に適しています。
チャットボットは、一問一答形式でスムーズに対話できるため、ユーザーが疑問をうまく言語化できないときでも、必要な情報にたどり着きやすいのがメリットです。また、ユーザーの入力内容を通じて情報を収集しやすいため、ニーズ分析や顧客対応の改善にもつながります。
導入時には対話フローの設計が必要になりますが、運用しながら柔軟にシナリオを改善できる点はメリットといえるでしょう。また、表示スペースが小さくても機能するため、スマートフォンからの利用が多い場合でも、ユーザーを損なわず済みます。
FAQシステムがおすすめなケース
FAQシステムは、大量のQ&Aを扱う場合や、ユーザーが自分で明確な疑問を持って情報を探せる場面に向いています。検索慣れしているユーザーには、チャットボットよりもFAQシステムのほうが早くて使いやすい選択肢となるでしょう。
また、FAQシステムはカテゴリ分けや検索機能によって、多くの情報を整理・提示できます。情報量が多くても一覧性が高く、文章だけでなく図表や写真を用いた丁寧な説明にも適しているといえるでしょう。
さらに、チャットボットに比べると導入コストが比較的抑えられるのも利点です。ただし、スマートフォンでは情報過多になることも少なくありません。パソコンからの閲覧が多いサイトに適しているといえるでしょう。スマートフォンに対応させるには表示やレイアウトに配慮が必要です。
効果を最大化するならチャットボットとFAQシステムの連携がおすすめ
顧客対応の効率化と満足度向上を図るためには、チャットボットとFAQシステムの連携が有効です。ここからは、FAQシステムとチャットボットを連携するメリットと、連携する方法について、それぞれ解説します。
FAQシステムとチャットボットを連携するメリット
FAQとチャットボットは、双方の強みをかけ合わせることで、さらなるユーザー満足度の向上を図れます。
例えば、提示できる情報量が限られている場面において、チャットボットでは回答しきれない質問に対しては、FAQシステムへのリンクを提示するといった使い方が可能です。
また、FAQシステムにチャットボットの機能を組み込めば、自身の疑問解決につながる効果的なキーワードを把握できていないユーザーでも、チャットボットとの対話により適切な回答にたどり着けるようになります。
このように、FAQシステムとチャットボットを組み合わせれば、ユーザーが問題を自己解決できる可能性が高まり、満足の向上が期待できます。
FAQシステムとチャットボットを連携する方法
FAQシステムとチャットボットを連携する方法は以下の2つです。
- FAQシステムをもとにチャットボットのシナリオを設計する方法
- FAQシステムにチャットボットのインターフェースを追加する方法
FAQシステムをもとにチャットボットのシナリオを設計する方法
1つ目は、FAQシステムの内容を参考にしながら、チャットボットにあらかじめ会話のシナリオを登録する方法です。
チャットボットを導入する際は、原則として「ユーザーの質問に対してどのように回答するか」というシナリオを設定する必要があります。FAQシステムでよくある質問をもとに流れを組み立てておけば、ユーザーをスムーズに回答まで誘導できるでしょう。
例として、旅行会社のwebサイトに、FAQシステムの内容をもとにシナリオ設計したチャットボットを設置した場合を考えてみましょう。ユーザーが「日程を変えたい」と入力すると、チャットボットが「国内旅行ですか?海外旅行ですか?」という選択肢を提示します。ユーザーが「国内」を選んだ場合、FAQシステムの内容をもとにあらかじめ設定した返答である「変更は出発3日前まで可能です。変更手続きはこちら」を表示することができます。
このように、選択肢形式でナビゲートして回答を提供できれば、チャットボットをスムーズに利用できるため、ユーザーの満足度も向上するでしょう。
FAQシステムにチャットボットのインターフェースを追加する方法
2つ目は、すでに構築済みのFAQシステムに、チャットボットのインターフェースを追加する方法です。この場合は新たなシナリオを作る必要はありません。ユーザーの質問を受け取って、該当するFAQページを自動で検索・表示する形式になります。
例えば、ユーザーが家電メーカーのサポートページで「冷蔵庫の温度設定」と入力すると、FAQ検索と連携して該当するQ&Aをチャット形式で自動で表示します。既存のFAQシステムをそのまま活かせるため、短期間かつ低コストで導入可能なのが大きなメリットです。
TETORIでチャットボットとFAQシステムの連携を実現
チャットボットは自動でユーザーとの会話を行うプログラムであり、FAQシステムはよくある質問とその答えのセット(Q&A)を大量に集めて整理したものです。
チャットボットは回答のスピードを重視したい場合やQ&Aの数が限られている場合に適しています。一方でFAQシステムは大量のQ&Aを扱う場合やユーザーが明確な疑問を持って情報を探せる場面に向いています。
チャットボットとFAQシステムの効果を高めるためには、両者の連携がおすすめです。とはいえ、自分たちでどうやれば良いのかわからず困ることもあるでしょう。
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