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カスタマーエクスペリエンス(CX)のマーケティングにおける重要性

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カスタマーエクスペリエンスとは?
カスタマーエクスペリエンス(CX)は顧客体験ともいわれています。モノやサービスが溢れ、機能・価格だけでは差別化が難しくなった現代において、ビジネス上の競争優位性をもたらすものとして、いま重要度が高まっています。

しかし、カスタマーエクスペリエンスがなぜ重要なのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、カスタマーエクスペリエンスの意味や定義に触れながら、なぜマーケティングにおいて重要なのかを解説します。企業事例も紹介しているので、具体的なイメージを立てやすくなっています。ぜひ最後までお読みください。

カスタマーエクスペリエンス(CX)の意味・定義とは

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは
カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience、CX)とは、自社の商品(製品)・サービスを利用した顧客が感じる「心理的・感覚的価値」を示すビジネス用語です。商品・サービスそのものだけではなく、購入前の説明から購入後のサポートに至るまで、一連のプロセスにおける顧客の体験すべてを含みます。

昨今市場全体のコモディティ化(一般化)が進み、従来のように商品・サービスの機能や価格といった物理的・金銭的価値だけで勝負することが難しくなっています。そのため、競争優位性を保つために、感動・驚き・心地よさといった顧客の心理や感性に訴えかけることが求められるようになりました。

カスタマーエクスペリエンスの重要性

カスタマーエクスペリエンスがなぜ重要なのか、背景やメリットなど多角的に分析します。

カスタマーエクスペリエンスで顧客の行動が変わる

カスタマーエクスペリエンスによって、顧客が抱く感情やその後の行動は変わります。ここでは、カフェに行く顧客を例に見ていきましょう。

顧客がお店を利用する目的は、次のようにさまざまです。
  • 美味しいコーヒーが飲みたい
  • 静かで広い雰囲気でゆっくりしたい
  • マスターとおしゃべりしたい
  • 後日友人と話すための話題作り
カフェが提供している商品はコーヒーや軽食ですが、顧客は飲食以外の目的も持ってカフェに足を運ぶことが多いです。

例えば、コーヒーの品質は非常に高いものの狭くて騒がしいカフェの場合、「静かで広い雰囲気でゆっくりしたい」といったニーズを持つ顧客が再訪することはないでしょう。

このように、提供している商品以外でも顧客の印象や行動は大きく変わってしまいます

今回はカフェを用いてわかりやすく例えましたが、このような行動の変化はBtoCやBtoBを含め、あらゆる業種に共通します。

カスタマーエクスペリエンスが重要視されるようになった背景

カスタマーエクスペリエンスが重要視されている背景には、インターネットやテクノロジーの発達が関係しています。

似たような機能を持った製品が大量にあふれている現代において、製品の機能性のみで他社製品と差別化をすることが難しくなっています。同じ機能が提供されているのであれば、顧客は気持ちよく商品を使いたいと考えるため、「ブランドイメージ」や「ユーザー体験」などの非物質的な価値がより重要になりました。

また、以前は企業から消費者に対して、一方的に情報提供をして購買へとつなげていましたが、インターネットの普及により顧客は検索やSNSを活用して、簡単に情報収集や情報発信ができるようになりました。そして、こういった個人の発信が強い影響力を持っています。

顧客は「他ではなく、ここで買いたい」という納得や強い共感・満足感を得ると、得た体験・感動を周りの人にもシェアしたいと考えます。これがSNSの口コミ発信等を通して、新たな顧客獲得につながっていきます

カスタマーエクスペリエンスを追求する具体的なメリット

カスタマーエクスペリエンス向上が企業に与えるメリット
カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させることは企業にとって様々なメリットがあります。
具体的には以下の4つが代表的です。
  • リピーター・ロイヤルカスタマーの獲得
  • 顧客離れの防止
  • ブランドイメージの向上
  • 広告効果
これらのメリットについて詳しく解説します。

リピーター・ロイヤルカスタマーを獲得できる

カスタマーエクスペリエンスを向上させることで、リピーターやロイヤルカスタマーの獲得に繋がります。顧客との接点(タッチポイント)すべてにおいて顧客の期待を超えた価値を提供することで、顧客から「次もこのサービスを使いたい」と感じてもらえるようになります。

リピーター顧客は、新規顧客向けの販促活動を行わなくとも、継続的に商品・サービスを購入してくれるうえ、周囲に肯定的な口コミやレビューを広めてくれるため、長期的な売上維持にも貢献。高い顧客価値を提供することで、顧客ロイヤリティの向上につながり、売上の安定化が実現できます。

顧客離れを防止できる

顧客は、サービスに不満を感じれば競合他社に乗り換えます。PwCの調査では、17%の顧客がたった一回よくない体験を受けただけで、そのブランドから離反することがわかっています。

また新規顧客の獲得には、既存顧客の5倍のコストがかかると言われており、一度失った顧客を取り戻すことは容易ではありません。そのため顧客離れを防止するために、カスタマーエクスペリエンスを徹底して追求する必要があるのです。

ブランドイメージの向上につながる

顧客はサービス・商品の利用を通して良い体験ができれば、企業やブランドに対してポジティブなイメージを抱くようになります。そして、その企業の他のサービス・商品にも興味関心を抱き、積極的に購入するようになります。

このようにブランドイメージを向上させることは、自社のサービス・商品全体の価値を高めることになり、結果として自社の優位性や売上獲得に繋がりやすくなります。

口コミされやすくなり認知拡大につながる

カスタマーエクスペリエンスの向上により、顧客は商品やサービスに対し愛着や信頼を抱くようになります。このような顧客ロイヤリティの向上は、SNSや口コミサイトへの投稿・レビュー・身の回り人への紹介など、好意的な情報発信につながります。

広告として最も効果的なのは満足度の高い顧客である」と言われるように、顧客のポジティブな口コミは大きな広告効果をもたらします。そのため、企業は顧客を「消費者」と捉えるのだけではなく「情報発信者」として捉え直すことが重要です。

カスタマーエクスペリエンスに注力している企業事例

カスタマーエクスペリエンスに注力している企業の事例を3つご紹介します。ここでは誰もが知っている有名企業のみを挙げますが、多くの中小企業がカスタマーエクスペリエンスの向上に取り組んでいます。

スターバックス

Starbucks Coffee Japan公式サイト
画像引用:Starbucks Coffee Japan公式サイト
https://www.starbucks.co.jp/
コーヒーチェーン世界最大手のスターバックスは、家庭でも職場でもない第三の場所「サードプレイス」として、極上のコーヒー、スタッフの気遣い、心地よい音楽、居心地の良さを総合し「スターバックス体験」を提供しています。

一時は、売上拡大を追い求めた結果、スターバックス体験が希薄になり顧客が離れた時期もあったようです。しかし、改めてカスタマーエクスペリエンスの重要性を定義し、スターバックス体験の原点に立ち返ってさまざまな戦略的施策を実行した結果、業績が回復し再び成長路線に復活しています。

例えば、リワードプログラム(My Starbucks Rewards)では、スマートフォンアプリで楽しみながらポイントを貯めてコーヒーを購入できるといった、ゲーミフィケーションを取り入れたカスタマーエクスペリエンスを提供しています。

リッツカールトンホテル

ザ・リッツ・カールトン ホテル オフィシャルサイト
画像引用:ザ・リッツ・カールトン ホテル オフィシャルサイト
https://www.ritzcarlton.com/jp
世界の70箇所でラグジュアリーホテルを展開するザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーは、世界のベストホテル特集では必ず上位にランクインするほど高い評価を獲得しています。

リッツ・カールトンでは、従業員一人ひとりに2,000ドルの決裁権をもたせています。これにより、顧客や状況に応じた自由度の高いサービスが提供でき、感動的な体験の提供につながっています。

また、顧客感動体験のことを「ワオ・ストーリー」と呼んで重要視している点も特徴的です。ワオ・ストーリーは世界中のリッツ・カールトン・ホテルで共有され、さらなる感動体験の提供につながります。

テスラ

テスラ公式サイト
画像引用:テスラ公式サイト
https://www.tesla.com/ja_jp
テスラはアメリカに本社を置く企業です。有名なのは電気自動車ですが、他にもソーラーパネルなどクリーンエネルギー関連の事業を幅広く手がけています。

テスラは優れたカスタマーエクスペリエンスの提供を重視しています。口コミを利用したマーケティングに力を入れており、SNSやメディアでの情報提供を積極的に行っているのが特徴です。顧客からのフィードバックを商品に素早く反映して、ユーザー体験の改善をはかっています。

カスタマーエクスペリエンスに関するよくある疑問

カスタマーエクスペリエンスに関してよくある疑問をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

カスタマーエクスペリエンスマネジメントとは?

カスタマーエクスペリエンスマネジメント(Customer Experience Management:CXM)とは、顧客体験の管理や改善を指します。

カスタマーエクスペリエンスマネジメントは、どのように顧客体験の価値を向上させたら、顧客ロイヤルティを高めることができるのかという考えから生まれた考え方です。

商品を購入する際の感覚的な価値を顧客に感じてもらえるようにすることで、企業ブランドの構築や強化を図ったり、口コミで良い評価を拡散したりしてもらったりすることがカスタマーエクスペリエンスマネジメントの目的です。

デジタルカスタマーエクスペリエンスとは?

デジタルカスタマーエクスペリエンスとは、カスタマーエクスペリエンスのうちデジタル技術に関連する部分のユーザー体験を表します。

しかし、昨今のカスタマーエクスペリエンスを考慮する環境では、すでに顧客とデジタルが関係しているケースが多くなっているため、デジタルカスタマーエクスペリエンスとカスタマーエクスペリエンスの違いは曖昧になってきています。

カスタマーエクスペリエンスを向上させるには?

カスタマーエクスペリエンスの向上には、主に5つのステップがあります。
  1. 現状把握
  2. スコープ設定
  3. 戦略の立案
  4. 施策の実行
  5. フィードバックと改善
まずは現状把握からはじめます。顧客満足度などを多く集計して、精度の高いデータを目指します。

次にスコープ設定です。スコープ設定とは、プロジェクト内容の範囲を定義することです。つまり、顧客ターゲット・対象フェーズ・ゴール設定を含めた対象範囲を設定することを指します。

どんな顧客をターゲットとするのか、どのような状態をゴールとするかなど具体的なイメージを固めていくことで、必要なタスクが見えてきます。

現状把握やスコープ設定で、自社の課題や方向性がわかるのです。戦略立案を行う際は、既存の戦略にとらわれずに、新しい視点も加えていくようにしましょう。

戦略立案まで完了したら、施策を実行します。まずは小さい範囲でスタートして、成長に合わせて徐々に範囲を広げていきます。

施策完了後は結果の分析と改善を繰り返し、より良いものとなるよう改善しましょう。結果はありのまま受け止め、「なぜこのような結果に至ったのか」と検証を行うことが重要です。

成功要因、失敗要因を見極めることで、次回に向けた改善策の立案につながり、自社独自のノウハウとして蓄積されていきます。

カスタマーエクスペリエンスと似た言葉との違い

カスタマーエクスペリエンスとよく似た言葉として、次の4つがあります。
  • ユーザーエクスペリエンス
  • カスタマージャーニー
  • カスタマーサービス
  • カスタマーサティスファクション
それぞれ詳しく解説します。

ユーザーエクスペリエンス

カスタマーエクスペリエンス(CX)と似た言葉にユーザーエクスペリエンス(UX)があります。両者にはどのような違いがあるのか、表にして解説します。
項目ユーザーエクスペリエンス(UX)カスタマーエクスペリエンス(CX)
対象数単一
(主に商品、サービス単体)
複数
(コールセンターの対応など複数のタッチポイント)
対象の種類プロダクト
(製品・サービス)
プロダクト・人
(コールセンター・接客など)
対応する組織主管部門のみで対応複数部門での合意形成
構築期間比較的短期長く終わりのない取り組み
このように、カスタマーエクスペリエンス(CX)はユーザーエクスペリエンス(UX)を内包した概念であり、「広義のUX」と呼ばれることもあります。

カスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは、顧客が興味・関心を抱いてから情報収集を行い、比較検討して購入するまでのすべての道筋を表すものです。直訳すると、「顧客の旅」となります。また、カスタマージャーニーを可視化したものを「カスタマージャーニーマップ」と言います。

カスタマージャーニーは、顧客が商品やサービスと出会い購買に至るまでの過程のことを指し、カスタマージャーニー全体から顧客が得た体験がカスタマーエクスペリエンスとなります。

カスタマーサービス

カスタマーサービスとは、商品やサービスの購入前・購入時・購入後のあらゆる段階で、顧客の疑問の解決を支援するサービスを指します。電話やチャット、メールによる対応、チャットボットなど人間以外による対応も含みます。

カスタマーサービスは「顧客の課題解決のサポート」という行為やサービスを指し、カスタマーエクスペリエンスはそのサービスを受けた顧客が感じた満足感・信頼感などを指している、という違いがあります。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスとは商品やサービスを購買した顧客に積極的に働きかけ、成功をサポートすることを指します。カスタマーサ―ビスと似た概念ですが、より能動的な意味合いが含まれています。

カスタマーサ―ビスが疑問解決・クレーム処理などの「不満の解消」を主な目的とするのに対し、カスタマーサクセスは売上アップ・解約率改善などの「顧客の成功体験の後押し」を主な目的とします。

カスタマーサービス同様、カスタマーエクスペリエンスとは「サービスそのもの」と「それによる顧客体験」という違いがあります。

カスタマーサティスファクション

カスタマーサティスファクションは、顧客満足度を表す言葉です。顧客が商品やサポートに対して抱く満足や不満を、アンケートや顧客ロイヤルティ調査などを通じて定量的に計測し、指標として利用します。

カスタマーサティスファクションとカスタマーエクスペリエンスは似た意味合いを持つ概念ですが、カスタマーサティスファクションは主にコールセンターなど限定的な領域の最適化を目的とする指標であるのに対し、カスタマーエクスペリエンスはより広範囲の最適化(全体最適)を目的とするという違いがあります。

またその他に、カスタマーエクスペリエンスの方が顧客目線の意味合いが強い、カスタマーエクスペリエンスは感情的で定量的に計測できないなどの違いもあります。

質の高いカスタマーエクスペリエンスを提供しよう

モノや情報に溢れた社会において、顧客は多くの選択肢から能動的に取捨選択ができます。そのため、企業視点でサービスを開発・提供するのではなく、顧客にとっての価値を追求し、カスタマーエクスペリエンスを向上させることが重要です。

カスタマーエクスペリエンスを効率的に向上させたい方は、TETORI (テトリ)を利用してみてはいかがでしょうか。TETORI (テトリ)はWebサイトからの離脱防止ツールですが、単にツールを提供するだけではありません。

導入後のサポートや最新アップデート情報の通知など、ユーザーにとって最適な案内を積極的に行うことで、カスタマーエクスペリエンスの向上を図っています。

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